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ブログ移転しました
辻屋本店四代目店主のブログは、公式ホームページ内へ移転しました。
今後ともどうぞご贔屓に♪


# by TomitaRie | 2019-12-10 16:44
浅草芸者 乃り江さん
先日、浅草芸者、乃り江さん20周年の御祝いの宴がビューホテルで盛大に開かれました。
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浅草の旦那衆を始め、舞踊・邦楽など伝統芸能関係、政財界から芸能界まで総勢200名ものお客さま、乃り江さんの人脈の凄さにはあらためて驚きました。

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東京藝大出身の皆さんの「翁千歳三番叟」からはじまり、四国や北陸、東北の各花街から駆け付けた芸者さん達の踊り、主役の乃り江さんを囲み浅草芸者衆の踊りや幇間の芸など、素晴らしい舞台に時を忘れて楽しませていただきました。

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乃り江さん、友人のYさんと。
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浅草芸者のあづはさん、千乃さん、紫沙さん。
私の隣は日本舞踊・宗山流家元の胡蝶さん。
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その話を父に報告していたら、乃り江さんのお祖母ちゃんの話になりました。
初代の乃り江さんは笛の名手として鳴らした芸者でした。
父は浅草寺の行事「金龍の舞」の第一期生だったのですが、初代乃り江さんも同じ頃、「金龍の舞」の笛を吹いていたとか。
その頃は笛の乃り江さん、三味線の太郎さん、そして踊りの金魚さんが浅草芸者の三羽烏として有名だったそうです。
私の祖父はずいぶん観音裏で遊んだ人で、その三羽烏の芸者達を連れて熱海までハイヤーをとばし、熱海芸者の三羽烏、紅梅、吉奴、君名を「小泉」という待合いに待たせておいてお座敷をあげたこともあったとか。
父が、いくらかかった?と聞いたら祖父は「乃り江に財布預けてたからわからないけど、それほどかからなかった」と言っていたそうな。
私が生まれる少し前、高度成長期の花街も賑やかで、うちの商売がまだ儲かっていた頃の話です。


初代乃り江さんはまだ若い時に置屋をはじめて、豚カツが名物の料理屋もやっていました。
店を贔屓にしていたアナウンサーの高橋圭三さんが「豚笛」と名付けたそうです。
当時の花街には、芸者さんが出した小料理屋が何軒もあって、「豚笛」の隣は「杉」といううどんすきの店で、父の親友が「杉」の娘と結婚したこともあり(その親友のお母さんは春千代といって浅草でいちばん綺麗だったそう)、私も子どもの頃に「豚笛」や「杉」に連れて行かれたのを覚えています。

私が母のお腹にいる暑い夏の盛り、祖父が「暑いから豚カツでも食べに行こうや」と言って父と母を連れて「豚笛」に入ったら、冷房がかなり効いていて、乃り江姐さんが父を叱って「おにいちゃん、妊婦さんにはもっと気を遣うんだよ!」と毛布を持ってきてくれたそうです。
父は82歳。その頃の花街を知る人もずいぶん減ってしまいました。


この日は母の訪問着で。
白地だったのをオリーブグリーンに染めなおしたもの。
なんとなく選んだのですが、乃り江さんが代々、笛をされるのでちょうど良かった!

日中はこれで働かなければならないため、袋帯は比較的軽めのを選びましたが、パールの帯留めでちょっと華やかさをプラス。これはお世話になった近所のご隠居の形見分け。
帯揚げは先日衝動買いしてしまった、黒地に深紅の蝶々柄の絞りです。

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少し高さのある草履は、ブロンズ色に小菊の型押し。
台の側面に一本入っている金色と前坪の紅色が裾から見えます。

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# by TomitaRie | 2019-11-30 15:26 | 浅草
海外日系人協会の研修にて
公益財団法人 海外日系人協会より依頼があり、JICA日系社会研修「着物を通じた日系社会活性化」プログラムの講座として和装履物のお話しをさせていただきました。

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参加者はアルゼンチン、ブラジルからで、職業は日本語教師、弁護士、デザイナー、会社経営者などさまざまです。
あらかじめ送られてきた日程表を見ると、11月4日~12月19日と1か月半もの長期研修、しかも内容にびっくり!
着物についての概要や歴史など講義と同時進行で、9回の実習で約30時間かけて浴衣を縫うのです。
さらに小紋と帯の着付けを6回に分けて実習。
その間、見学として櫛かんざし美術館、染物店で洗い張り、そして当店の履物。

後半は京都へ移動、西陣織や絞り染めの見学。
東京に戻って来て、保管・メンテナンス・染み抜きの実習、着物関連イベントの企画運営についての講義。
なんと濃い内容! 私も受講してみたい!!


通常、着物に関する文化事業で、履物が注目されることはほとんどないので、カリキュラムの一つにを入れていただいたのは大変嬉しいことです。
そして辻屋本店を選んでくださったことも、とても名誉なこと。
短時間でしたが下駄、草履の種類や歴史、選び方について講義させていただき、番頭の野村が雪駄の鼻緒挿げを実演しました。

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和装履物は、着物とは別の独自の文化があると私は考えています。
もちろん着るものに準じて履物を選ぶことには間違いありませんが、履物専門店が絶滅寸前という状況にある今、上に着るものに比べて、履物があまりにないがしろにされていることが残念でなりません。
どんなに素晴らしい着物や帯を身に着けていても、情けない履物を履いていたら、せっかくの着姿は台無しです!
履きやすい、歩きやすい履物についての正しい知識を持っていない人達が、間違った情報を広めいる現状にも、日々悔しい気持ちでおります。
2020年のオリンピックイヤーを期に、海外でも日本文化および着物について興味が深まるチャンスかもしれませんが、私は日本の伝統的履物文化について、微力ながらも発信していきたいと思います。


# by TomitaRie | 2019-11-26 18:01 | 下駄・草履・和装のこと
平成中村座 小倉城公演にて
11月1日、平成中村座 小倉城公演が開幕、
辻屋本店も初日から9日まで職人長屋に出店しています。
私は前日に搬入で小倉入りし、5日に妹と交替するまでおりました。
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平成中村座は小倉城の並び、勝山公園内に建てられています。
紫川が流れ、広々とした気持ち良いところ。

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街の商店街には中村座の幟旗がずらり。

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長屋は両側合わせて20軒並んでいます。
私達、職人長屋には東京から、そして地元北九州の職人が。

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小倉出身、大分在住の木下さん。
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浅草からは「ふじ屋」さんや、「文扇堂」さん。

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うちのお隣は小倉織りの「縞縞」さん。
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他にも芝居絵、張り子人形、銀細工、一閑張り、組子細工、つまみ簪など。
平成中村座は九州初上陸ということで、初日はテレビや新聞の取材もたくさん来てました。

辻屋本店の平成中村座限定商品はこちら。
角切銀杏を焼き付けた三味角下駄です。
妹が作りました!

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途中、小倉で仕事をしている私の夫に店番を頼み、昼の部と夜の部を観劇。

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「小笠原騒動」では地元の人達が小倉祇園太鼓を演奏、
ラストは小屋の背景が開いて小倉城が現れ、大感動でした!!

これは最後の十数分、外から見たところ。
今回はチケットが発売日に売り切れ、いつも以上に入手困難だったそうで、
終演後、芝居小屋の裏で出待ちしている人たちに、勘九郎さんがご挨拶されるそうです。
毎日昼夜の公演で大変なのに、すごい役者さんですね!
日に日に見物人が増えてました。

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後半は妹が店番をしていますが、辻屋本店の出店は9日の昼の部まで。
職人長屋は3交替します。

お茶子頭のきむちゃんと。

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落語家の古今亭菊之丞師匠が、観劇の前にお立ち寄りくださいました!
師匠には辻屋本店の草履をご愛用いただいています。
大河ドラマ「いだてん」で落語の監修をしていらっしゃるので、
番組でご一緒だった勘九郎さん、七之助さんにご挨拶にみえたのです。

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夜の部公演が休みの日、妹とリニューアルしたばかりの小倉城を見学しました。
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城から見た芝居小屋。

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朝10時開店、夜の部がはねて8時過ぎに閉店するまで、ほぼ休憩もないのでさすがに疲れましたが、
小倉のお客さまは皆さんとてもフレンドリーでお喋り好きな方が多く、
楽しい長屋生活をさせていただきました。

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# by TomitaRie | 2019-11-08 16:24 | 伝統芸能
逗子の古民家で

昨日は地元の先輩にお誘いいただき、逗子へ。
小坪にある築80年の古民家で、高峰秀子と京マチ子の映画を鑑賞しながら語り合う
「古民家でかいまみる日本映画の女性像」というイベント。


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「第14回 湘南邸園文化祭」の一企画です。
相模湾沿岸地域一体は、明治期から政財界人・文化人の別荘・保養地があり、さまざまな交流、発信がされ、湘南文化として続いてきました。
「湘南邸園文化祭」は三浦から小田原・箱根に至る広い地域ですが、この地の邸宅・庭園や歴史的建造物を官民協働により、新たな文化発信や交流の場としていく活動とのこと。



ご一緒した中には、このような個人の古民家を守り、再活用する活動をされている方もいらっしゃいました。
実は我が家も結婚した当初、根津に木造2階建ての小さな借家に居を構えておりました。
谷根千エリアの木造住宅は激減しましたが、このあたりも時代の波には勝てず、東京よりはずっと残っているものの、この10年でずいぶん減ってしまったとのこと。
文化財になっていない個人宅は相続などあって難しいですが、なんとか残して欲しいものです。


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「名もなく貧しく美しく」のあまりに悲しい結末に一同涙。次の「いとはん物語」の途中で私は失礼しました。
高峰秀子の著書『台所のオーケストラ』からの、おいしいお料理とワイン。


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途中、お隣の葉山マリーナまでちょっとお散歩、久しぶりに湘南の海を眺め、気持ちが晴れ晴れ!
思いがけずリフレッシュした半日でした。


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紫地の紬に、古民家の雰囲気に合いそうな、アンティークの羽織で。
白木の舟形下駄に、木賊と弁柄色の鼻緒。

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# by TomitaRie | 2019-10-29 14:40 |