2014年あさくさ和装塾は和のエンタテインメントをご紹介するシリーズです。
題して『That's 和ンターテインメント!』。
第一弾は浪曲入門編。前回に引き続き、浪曲の予習をしておきましょう!
〔浪曲の構成〕
太棹の三味線を伴奏に、浪曲師が一つの物語を「節(ふし)」と「啖呵(たんか)」で
演じます。
「節」は歌の部分で、物語や登場人物の心情が歌詞になっています。
「啖呵」は台詞の部分。「フシで三年タンカで五年」と言われるそうです。
〔浪曲の節〕
浪曲は東京と大阪で幕末のほぼ同時期に生まれ、交流しつつもそれぞれ特有の芸風を
形作ってきました。
その違いを端的に現すのが「節」で、関東節・関西節の2つに分けられます。
関東節は三味線の調子を高く取り、速いテンポで高調子の寂声を基本にしています。
対して関西節は三味線の調子を低く取りゆったりしたテンポです。
〔テーブルかけ〕
浪曲師の後ろ、舞台中央に金屏風。浪曲師の前には腰の高さくらいの演台を置き、
その上には「テーブルかけ」がかけられます。
この「テーブルかけ」は裾が山型に広がり、相撲の化粧回しのようにファンが
贔屓の浪曲師に贈るもので、金糸で寄贈者の名前や会社名が記してあります。
奈々福さんのテーブルかけは、美しく立派な金魚が描かれています。
美術作家・深堀隆介さんの製作です。深堀氏はアクリル樹脂を利用し金魚を
描いた作品が有名な、いまや世界的な美術家。
6年前、浅草・木馬亭で「唸る浪曲 泳ぐ金魚 金魚亭」というイベントがあり、
じつは私はこの時初めて奈々福さんの浪曲に出会ったのでした!
〔曲師の位置〕
観客から見て右側に座って三味線を演奏するのが「曲師」。浪曲師に呼応しながら
即興演奏をし「合いの手」を入れます。
定席などでは衝立の後ろで演奏しますが、現在は「出弾き」で弾くことが
多いようです。
「あさくさ和装塾」では豊子師匠の素敵な演奏姿が見えるスタイルですので、
お楽しみに!
〔衣装について〕
男性は紋付袴、女性は袴を付けても付けなくても可ですが、いずれも和装姿。
奈々福さんは、色紋付を着ることが多いそうです。
「紋付きだとお武家の話でも不自然にならないですし、柄に目がいくよりは
無地の色紋付のほうが、自分が消えて物語に入ってもらえるかと思って」と
和装人インタビューの際におっしゃっていました。
また豊子師匠の着物も、私は毎回楽しみにしています。
季節に合わせた、目立ちすぎないけれど華やかさもある着こなしは、
さすがな感じなのです。