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きもの健康法
博多帯の「一十」さん主催の着物学講座へ行って来ました。講師は中塚一雄先生。毎回、お腹を抱えて笑えて、しかも「へぇ~!」と叫びたくなるお話をして下さいます。

この日のテーマは「きもの健康法」。なにやらお昼の情報番組とか健康雑誌の見出しみたいですが、いつも以上に大笑いでした。
まずは、ご先祖について。せいぜい曾お祖父さん、お祖母さんくらいまでは名前も知っていますが、それ以前はよく知らない。でも遡れば明治時代から数えても、30人以上のご先祖様がいることになる。江戸時代からだと1万6千人、平安時代からのご先祖様は計算すれば120万人にもなるそうです。その一人欠けても、今の自分は生まれていないのです。
そしてご先祖様たちは、99%が着物の生活をしていた。だから私たち日本人には着物生活ののDNAが組み込まれている!というわけ。なるほどね~!

衣食住のうち、たしかに衣だけは、この数十年ですっぱり洋風に切り替わってしまっています。食に関しては、例えば明日から、「ご飯と味噌汁禁止令」が出たら…。私は麺類が好き、パンが好き、という人も、絶対ご飯は無し、と言われたらかなり辛いのではないでしょうか?
住にしても、畳や障子のない家、マンションに住む人が多くなったとはいえ、家の中に靴のまま入る日本の家庭はそんなにないでしょ? それからソファがあるのに、つい床に座ってしまい、ソファは背もたれ、なんてうちも、結構ありますよね?

なのに衣だけは、今やお歳を召した方も着物はほとんど着なくなっています。でも日本人の体には、着物が合っているはずなのだ! と中塚先生。
日本人は野菜や豆類、海藻類をたくさん食べてきたから、胃腸が長いそうです。食事が西洋化されて、肉や乳製品を多く摂取するようになると、ひじょうに負担になる。そのためお腹は冷やしてはいけない!
夏の服装で、Tシャツにジーンズだけだったとすると、お腹を覆うのは1枚です。ところが着物は、前合わせがあるから、帯も入れて少なくとも5枚は重ねることになります。だから着物は暑くて…となるわけですが、今はどこへ行っても冷房が効いているから、薄着だとお腹も冷えてしまう危険がありますが、着物はその点安心です。逆に冬も、たくさん布を重ねていることで、空気層ができるから暖かい。

それから姿勢のこと。姿勢が悪いと足腰も弱って、歳をとるとボケにつながる。帯をしていると猫背になりにくいし、たしかに着物を着ると背筋が伸びます。
以上の点から考えても、「着物は日本人の体を守ってくれる健康器具である」というお話でした。

私の拙い文章だと伝えきれないのが悔しいですが、とにかく中塚先生の話芸はおもしろくて、毎回楽しみに来ている人も少なくないのです。
その後、一同は中州の「博多石焼 大阪屋」さんで忘年会。こちらは大正15年創業で、昭和初期の作家、夢野久作も通ったという名店です。
女将(ごりょんさん、と博多では呼びます)はいかにも博多の女性という感じの、粋で明るい方です。石焼というのは、石鍋に食材を乗せて焼くものです。感心したのが食材の新鮮さに加えて、タレのうまさ。ウニ味噌ダレなんて初めて食べました。
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郷土料理の「がめ煮」と「博多雑煮」も。この地でお雑煮は、あご出汁の澄まし汁に、焼かない丸餅、かつお菜、鰤が入っていました。
by TomitaRie | 2008-12-19 13:19 | 下駄・草履・和装のこと


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