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田植踊の下駄
先週末、50代後半位の女性がお店に入ってきて、「あのー、踊りで使う下駄が欲しいんです」
うちの番頭さんが「盆踊りか何か?」と聞くと、「いえ、伝統芸能なんです」
盆踊りなどに履く2,000円前後の草履を探しにみえる
お客様は少なくないので(とくに夏には)、そうかなーと思ったのですが、
なんとなく気になって詳しく話を聞いたところ・・・
「私の町は福島県の浪江町で、東日本大震災の津波でなにもかも流されてしまったのです。
原発事故の影響で戻ることもできないので、今も住民は各地に散り散りになっています。
でも、田植踊という400年続く伝統芸能を昨年の夏、ようやく復活させました。
これまではホールや会館など室内だったので、草履で踊っていたのだけれど、
今後、屋外で披露する機会が増えてきて、二本歯の下駄が必要になります。
ギリギリまでようすを見ていたのだけれど、福島県内はまだ雪が残っていて、
やはり下駄でなければダメ。
10足ほど必要なんだけれど、一足3,000円位までしか予算がないのです」とのこと。
辻屋本店は桐下駄しか扱っていないので、5,000円以上の下駄しか売っていません。
でも桐以外ならば、探せば安価な下駄はあるかもしれない・・・
そう考えて、週明けまで待ってくださいとお願いしました。

月曜日、仕入れ先をいろいろ当たってみたら、はたしてドロヤナギを素材にした
下駄を仕入れることができました。
が、そこでふと「被災地に何か役立ちたいと思っていたけれど、
これって、またとないチャンスじゃないかな・・・?」
と思い、父と妹に「下駄屋が役立てることが、ようやく見つかったんだから、
この際、下駄10足くらい進呈しようよ」と提案。
2人とも快諾してくれました。

インターネットで調べてみると、次のような記事がありました。
「東日本大震災の津波と原発事故で消滅の危機にある浪江町請戸地区の伝統芸能
「請戸の田植踊」を復興、継承する取り組みが、避難中の住民や有識者の手で動き始めた。
・・・請戸の田植踊は、毎年2月の第3日曜日(以前は2月24日)、
同町請戸の野(くさの)神社の安波(あんば)祭りで奉納され豊作を祈願する伝統芸能。
起源は江戸時代で、近年は請戸芸能保存会が地元の小学生らを踊り手として集め、
育成し継承していた。
・・・請戸地区は津波で壊滅。さらに原発事故で、地域は立ち入り禁止となり、
1000人以上の住民は避難。保存会の渡部忍会長(61)らによると、
今年2月に踊った児童ら14人は全員無事だが、衣装や楽器、資料は流され、
神社の宮司も行方不明という。
このため、保存会会員で東京に避難中の佐々木繁子さん(61)が
「児童にせめて祭礼での写真を贈りたい」と、福島民友新聞などを通じ
広く提供呼び掛けを告知。
この窮状を知った国学院大学院友会浜通り支部(支部長・山名隆弘大国魂神社宮司)が
「このままでは浜通りの文化財が消滅し、郷土の誇りが忘れ去れる」と、
祭礼を復興、継承するため協力に名乗りを上げた。
佐々木さんは「私たちも負けていられない。復興の先は長いが頑張る」と話している。
(2011年7月2日 福島民友・地震関連ニュース)

さっそく赤い鼻緒を挿げて、店にみえた女性(それが佐々木さんでした!)に
連絡したところ喜んでくれて、「じつはこの後すぐNHKに浪江町の田植踊の話題が
放映されるんですよ。お店で見れますか?」
休憩室のテレビを見ていると、ほどなく田植踊の話題に!
黒留袖を着た佐々木さんが取材されていました。

ほんとに、なんと良いタイミングで佐々木さんはうちの店に来てくれたんでしょう!
明日、下駄を受け取りに来てくださいます。
喜んでくれるといいんですけど・・・^^
田植踊の下駄_d0028327_23515992.jpg

by TomitaRie | 2012-02-15 23:55 | 下駄・草履・和装のこと


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