七夕の日、アサヒビールのアサヒアートスクエアで、「江戸着物ファッションショー」というイベントが開催されました。
江戸徳川の各時代の着物を、その時代に着ていたように、実際にモデルさんが着るという斬新な企画です。
着物好きライターの西端真矢さんは、「江戸の女性たちが持っていた自由な発想、自由な色使いに触れて、
もっとみんなが着物を好きになって欲しい」という熱い思いで、この企画を発案、プロデュースされました。
レクチャーは服飾史の第一人者・道明三保子教授。上野の老舗組紐店「道明」の当主夫人でもあります。
道明先生がスクリーンに映した写真を見せながら、着物の変遷を説明し、
次々に衣装を着たモデルさんたちが現れます。
東福門院和子が寛文4年(1664)に京の呉服商、雁金屋に注文した小袖を、
残された雛形本から復元した寛文小袖など、貴重な着物を目の前に、観客席からも感嘆の声があがりました。
今回、モデルさんで協力してくださったのは、和髪研究会の皆さん。
いつもは自分で日本髪を結って着物を楽しんでいる女性たちですが、
このイベントのために各時代の髪型をそれぞれ研究し、
工夫を重ねて、難しい髪型もこなせるようになったのだとか。
本当にすごいです!
代表の島田さんです。
着物の着装は、着付け学校「装道」先生方と生徒さん達。
装道には時代着物専門のコースがあるのです。これもすごい。
そして、履物は辻屋が協力させていただきました。
中流の町人の奥さんが着る<縞文様小袖+繻子帯>には黒塗りの駒下駄。
茶屋の娘さんが着る<黄八丈風小袖+前掛け>には差し歯下駄。
富裕層の町人の奥さんが着る<墨黒裾文様+総鹿の子>には重ね草履。
私も舞台袖から見ておりましたが、立ち見が出るほどの大盛況でした。
ショー開始前の楽屋裏はこんな感じ^^
西端さんから、このイベントについて相談されたのは、わずか2か月ほど前のことでした。
その時はまだ決まっていないことばかりでしたが、
彼女の情熱に「何か役に立ってあげたい」と思ったのでした。
いちばん困っているのがヘアスタイルだと聞いて、
「そういえば、日本髪を自分で結っている人たちがいるなー」と思い出し、
そのうちのメンバーに知人がいたので連絡をとったところ、
喜んで協力してくださることになったのでした。
これほどのイベントを大成功させた西端さんのガッツには、私自身とても刺激になりましたし、
損得抜きで、何かをやり遂げ、そこにいろんな人たちが協力するのを見て、
大事なのはお金だけじゃない、楽しさ、喜びってこういうものだよなーと心から感じたしだいです。
道明先生とのご縁ができたことも、西端さんに感謝です。
着物の知識の深さはもちろんのこと、気持ちの温かい方でした。