上下2段構造になっている「二こく」の鼻緒は、
昔の草履によく見られたのでご存知の方も多いでしょう。
こちらは「五こく」。5段構造です。
先日メーカーの在庫処分でみつけました。
こちらを仕立てた職人が83歳と高齢でもう辞めるので、これが最後とのこと。
鼻緒の仕立て自体が難しいのはもちろん、この鼻緒を挿げるのもかなり高度な技術が必要です。
5本を少しずつずらして挿げるということは、「たるみ」を微妙に調整しながらカーブを作るわけで、
最初の「根留め」という工程が肝心なのだそう。
しかも畳表付きの下駄に挿げるのには紐を通す穴が広がらないため、相当な腕がないとできません。
挿げたのは辻屋本店の熟練職人、この道55年のベテラン、野村さん。
おそらく全国でも五こくの鼻緒をこれほどきれいに挿げられる職人は、ほとんどいないと思います。
これほどの腕を持った野村さんは辻屋本店の宝。
本当にありがたいなぁと思います。