浅草の呉服店「はんなり」と辻屋本店のコラボイベント第二弾、
「ジャクソン・ポロックを帯にせよ」無事終了いたしました!
気鋭の染色作家、仁平幸春氏をゲストにお招きし、
「はんなり」社長、中瀬さんとの熱いトークを展開、
私は司会進行をつとめさせていただきました。
「着物は心にズキュン!と響くものでなければ」という中瀬さん。
呉服業界全体が沈んでいる時代、売り手側は無難でありきたりな
着物や帯ばかり作ってしまうのが現状だけれど、
それでは着る側が買いたいと思えない。
営業テクニックで売っているのは、もう限界がある…
などなど、かなり呉服業界の裏側にも踏み込んだ内容でした。
一方、仁平さんは元々は料理人だった経歴ですが、
料理と染色はかなり近いとおっしゃっていました。
持ち込まれる相談は、ずいぶん無理難題も少なくないそうですが、
それをこなしてしまう実力と感覚に、中瀬さんも絶大な信頼を置いているようです。
お二人の共通する考えはこういうことだと思います。
着物を着る人もさまざまだけれど、今や趣味や生き方も多岐にわたり、
歌舞伎や文楽を観る、旅行をする、コンサートに行く、絵画鑑賞する、グルメなど、
いろんな選択肢のひとつに、和装でおしゃれすることがあり、
作る側も売る側も、そういったことに並んで選ばれることを意識しなければならない。
うちは履物屋ですが、とても刺激的で共感することがたくさんありました。
商品をただずらりと並べていても、魅力がなければそっぽを向かれてしまう時代。
私が四代目を継いで5年、先代のやり方とはかなり変えてきました。
単に問屋から仕入れた商品を売るだけではなく、
「これはいい!」と自分たちが自信を持っておすすめできる商品をセレクトし、
お客様それぞれの着物コーディネートがより素敵になるような一足をご提供する。
辻屋本店ならではの、個性を持った草履や下駄をメーカーといっしょに作っていく。
こういったことを心がけてやってきましたし、これからも続けてまいりたいと思います。
私の装い。
この日は涼しかったのですが、竺仙の長板中形を初おろし。
毎年、夏になると竺仙の浴衣にうちの下駄をコーディネートさせていただくことが
多々あるのですが、自分では持っていなかったので、
今年の展示会で思い切って自分用に求めました。
ずっと憧れていた長板中形ですが、しばらくは藍が落ちるということなので、
帯はリサイクルで見つけた破格のもの。
履物は新入荷の三味角舟形です。
鼻緒は八重山の織り生地を仕立てたオリジナル。