草履の修理
辻屋本店では自店の商品、他店の商品にかかわらず、可能な修理は受付けています。
鼻緒の交換、前坪の交換、底裏の剥がれ直しなどがあります。
思い出がある草履を大切にする気持ちにお応えしたい、そして挿げ職人の技があることを知っていただきたいと思うからこそ、
修理代金を低く設定しつつ、よそさまの草履も引き受けております。


先日も、大きなスーツケースいっぱいの草履を持ち込まれたお客様がいらっしゃいました。
踵の交換と、緩んだ鼻緒の調整です。
d0028327_16253976.jpg
d0028327_16253699.jpg
このお客様は足が小さく、鼻緒をかなりきつく挿げるため、一足一足、鼻緒の「根留め」という作業をやり直さねばならず、新しい草履に鼻緒を挿げるよりも大変です。
他の場合でも、修理にはかなり手間と時間がかかることが多いのです。
かける時間と技術を考えれば、修理代はかなり良心的に設定しています。
面倒な作業をやってくれるうちの職人には、心からありがたく思います。


歩きやすい、疲れない草履というのは、草履の素材やデザインも影響しますが、ほとんどは「挿げかた」による部分が大きいのです。
挿げ職人はいまや絶滅危惧種といってもいいほど少なくなり、目の前で草履を挿げてもらったことがない人がほとんどと言っても過言ではない状況です。
それゆえ鼻緒を挿げる技術が評価されないのでしょう。
呉服屋さんのような着物のプロでも、最近は鼻緒を挿げなくてよいタイプの草履を履いているかたが多いのは、本当に残念なことです。


「痛くて履きづらいのは、草履のせいではなく、鼻緒の挿げかたのせいです。」
一日に何度も、お客様に説明しています。
一度でも辻屋本店で草履をお求めくださったお客さまは「辻屋さんの草履はほんとうに履きやすい」と言ってくださいます。
挿げかたは、各店によって違います。職人によってもそれぞれです。
草履の履き心地は、挿げる技のレベルによるわけです。
辻屋本店の職人は、創業より107年の歴史の中で、
代々受け継がれてきた高度な技術を持っていると自負しております。



写真の大量の修理を持ち込まれたお客さまは、この3倍くらい草履をお持ちとのことですが(笑)、
とても大切にされていることが草履を見るとわかります。履き終わったら乾拭きして、踵が減っているかチェックしてからしまっているそうです。
時々、ドロドロの草履を修理に持ってくるかたもいらっしゃいますが、せめて泥や汚れは落としてから持ってきていただけると、ありがたいです。

また草履はたいてい、台と鼻緒は同じ革で仕立ててあるので、元々付いていた鼻緒以外は合わない場合も少なくありません。
当店の在庫で、持ち込まれた台に似合う鼻緒があれば、もちろんその場ですぐに替えて差し上げるのですが、あれこれ合わせてみてもどうしても似合う鼻緒がない場合は、お断りすることもあります。
「鼻緒なんか、なんでもいいわよ、履けさえすれば。どうせ見えないんだから」というかたも時々いらっしゃいます。
そんなことは絶対にありません。
草履はコーディネートの重要なポイントです。
商売だけでいえば、台に似合わなくても適当な鼻緒を挿げれば修理代はいただけるのですが、うちで修理した草履がみっともない一足になるのはどうしても嫌なのです。


[PR]
by TomitaRie | 2018-08-21 16:33 | 下駄・草履・和装のこと | Comments(0)


<< 片貝花火ツアー 立秋過ぎて >>