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「美しいぼろ布展~都築響一が見たBORO~」
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津軽のこぎん刺しや南部の菱刺しは、昭和初期の民芸運動をきっかけに一躍脚光を浴びました。
今でも人気があり、全国に作家も多く趣味で作る人々もたくさんいます。
辻屋本店でも、こぎん刺しの夏次郎商店をフィーチャーしています。

この展示はそういった陽の当たる民芸ではなく、農民の日常の中で使われてきた「ぼろ」を、生涯かけて集めてきた田中忠三郎さんのコレクションです。
‘貧しい東北を象徴するもの’として、恥ずかしさとともに忘れ去られようとしていた「ぼろ」。

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寒冷地のため綿花の栽培ができず、農民の日常的な衣服は麻を栽培して織った麻布でした。
江戸時代、農民が木綿を身に着けることは禁止されていました。
当然、麻布で寒さを防ぐには、何枚も重ねなければならず、傷んで穴が開いてもつくろい、布と布の間に麻屑を入れて温かくする。

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木綿の古着が手に入ると、古裂をみんなで分け合ってつぎ足す。
そうして一枚の服や、布団を何十年も、何代にもわたって使わなければならないほど、貧しい時代が続いたのでした。

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<ドンジャ>
着物の形をした掛布団。麻布を土台に古手木綿をつぎ足し、少しでも厚く温かくするために麻の屑を詰めて麻糸で刺し止めてある。南部地方で大正時代まで使用していた。


必要にせまられてつくられたこれら「ぼろ」が、結果的に美しいものとなり、現代のブランドやデザイナーがファッションに取り入れるようになっています。
「そっくり復刻して、フランス語かイタリア語のタグと高い値段をつければ、そのままハイファッションになるにちがいない。完璧な完成度。それが民芸や現代のキルト、パッチワーク作家のように、きれいなものを作りたくて作ったのではなくて、そのときあるものをなんでもいいから重ねていって、少しでも温かく、丈夫にしたいという切実な欲求だけから生まれた、その純度。」(小出由紀子、都築響一 『BORO つぎ、はぎ、いかす。青森のぼろ布文化』より)

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これは女性の下着。

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おむつです。


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ボドコ>
古布を幾重も縫い合わせて、床に敷いて使った。出産の際はこの上で産んだそう。先祖が使ってきた布たちに守られて赤ちゃんが生まれた。



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<ケラ>
雨具であり防寒具。雨の日や吹雪の日は欠かせない、現代のレインコート。藁、木の皮、海藻でつくられる。新婚の男女が親族に挨拶に伺う際に使うのが、背の部分に美しい模様をつけた伊達ゲラ。


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<鮭の皮のブーツ>
ヒレが滑り止めになっている!


浅草の二天門からすぐ「アミューズミュージアム」で今月いっぱい。老朽化のため閉館となるので、あと1週間です。
同館クローズ後は、このコレクションは海外を巡回することが決まっているそうです。
日本では、アカデミックな美術館はまったく見向きもしなかったコレクション。
これは是非見ておくことを強くおすすめします!


by TomitaRie | 2019-03-24 17:49 | 浅草 | Comments(0)


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